「華麗なるギャツビー」予告 / とてつもない完成度を誇る名作予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「華麗なるギャツビー」(2013)の予告をご紹介します。
小説「グレート・ギャツビー」の映画化作品です。主演はレオナルド・ディカプリオ。
この予告は最も好きな作品の一つで、以前紹介した「ダークナイト ライジング」と並んで私の中での2トップです。
いくつかバージョンがありますが、ぜひ下の予告編第3弾を観ていただきたいです。
映画『華麗なるギャツビー』予告編第3弾
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○とてつもない完成度を誇る名作予告
最初のパートでは、ジョエル・エドガートン演じるトム・ブキャナンの台詞を通して、主人公ギャツビーのゴージャスでミステリアスな生活について語られます。このパートではギャツビーは謎多き男として描かれ、トムに正体を問い詰められても一切表情を崩しません。BGMはBeyoncéとAndré 3000による”Back to Black"。
そんなギャツビーですが、トムに生まれや身分について侮辱されると、一転して激高し、トムに殴り掛かります。
その後、ギャツビーの過去について紐解かれます。自分とは身分の違う女性に恋をして、彼女を手に入れるために今の地位まで上り詰めたことが示唆されます。バックで流れているのはLana Del Reyの"Young and Beautiful"という曲で、ロマンチックながらもとても切ない雰囲気によく合います。
そして最後のパートでは、Florence and the Machineの" Over the Love "という曲に乗せて、今まで冷静だった登場人物たちが感情を爆発させる場面が次々と流れ込んできます。この部分は、歯車が狂い始め物語が展開していく様と重厚な音楽が完全に調和していて、数ある予告の中でも屈指の名場面・名演出だと思います。
It had gone beyond her.
It had gone beyond everything.
この台詞が、ギャツビーが暴走していく様子を端的に表現していてとても効果的だと思います。
トビー・マグワイアが声を荒げるシーン、映るのは一瞬ですがとても印象的です。
そして最後に、音楽の伴奏が止み、ギャツビーの言葉で締めくくられます。
My life has got to be like this.
It’s got to keep going on.
地位や財産を手に入れても、なお孤独に上り続けていくしかない彼の生涯が最後に印象付けられます。他の予告にはない後味です。
この「華麗なるギャツビー」は作中の音楽に力を入れていて、Jay-Zがプロデューサーを務めたサウンドトラックはとても聴きごたえがあります。
著名なアーティストによる素晴らしい楽曲が予告でもふんだんに使われており、作品の完成度を極限まで高めています。
この予告は、約2分半の中でテイストが何度も変わる作りになっていて、普通ならまとまりのない感じになってしまうところですが、出演者の演技力と、効果的に場面を切り取る巧みな構成、そして各パートとそれぞれ調和する音楽によって、多大な情報量を上手く観てる側に伝えられていると思います。
この映画は何年も前に公開された作品でありDVDや配信サービスでいつでも観られるので、予告編をわざわざ観る人はあまりいないかもしれませんが、これは予告編単体でも素晴らしい作品に仕上がっているので、本編を鑑賞済みの方もそうでない方もぜひ多くの人に観てもらいたいです。
読んでいただきありがとうございました。