映画予告編の悦楽

映画予告編の魅力をひたすら語っていきます!

「ジャッジ 裁かれる判事」予告 / 無駄がなく洗練された一級品の予告

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「ジャッジ 裁かれる判事」(2014)の予告をご紹介します。

判事の父親と、弁護士の息子の物語を描いた作品です。

 

映画『ジャッジ 裁かれる判事』予告編

https://youtu.be/IWpjxXftXH0

 

 

 

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○無駄がなく洗練された一級品の予告

この予告、派手ではありませんが、本編の良いシーンを上手く繋ぎ合わせて素晴らしい音楽を重ねた、本当に完成度の高い予告編だと思います。

 

判事の父ジョセフが起こした事件の弁護人としてロバート・ダウニー・Jr演じる息子のヘンリーが地元に呼び戻されますが、どんな手を使っても裁判に勝ちたい息子と頑固者の父は折り合いが合わず、すれ違ってしまいます。

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音楽はAugustinesWalkaboutという曲が予告全体で使われています。予告の前半は静かに流れて、0:48ごろから一転して力強い曲調に変わるので、はじめ別の曲かと思いましたが、原曲も本当に途中で転調する曲になっています。

ちなみにAugustinesというのは解散してしまったアメリカのインディーズバンドで、この曲の音源はなかなか音楽配信サービスなどでは見当たりませんでしたが、YouTubeではKEXPというラジオ局のチャンネルからライブ映像が公式でアップロードされていました。

 

Augustines - Walkabout (Live on KEXP)

https://youtu.be/s5opxaVWrl8

 

曲が転調してからは予告も加速度的に進んでいきます。父と息子の関係、昔と今の変化、兄弟たちの後押し、裁判に臨む気持ちなど、それぞれ端的に伝えるシーンが紡がれますが、そのどれもが印象的で、予告だけでも心に来るものがあります。

 

晴天の下で父と反対方向に進んでいくヘンリーですが、何かを決心したようにジャケットを脱ぎます。

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父が長年座ってきた判事の椅子を見つめるシーンも、言葉はありませんがヘンリーの父に対する気持ちが伝わってきます。

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父に無理やり裁判の練習をさせる場面は、父に嫌われようと何としてでも裁判に勝つというヘンリーの決心が表れています。

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子供のころの思い出を話す兄弟たち。ストーリーと直接関係がないように見えますが、昔の親子、兄弟の関係を上手く表していて、この予告に不可欠な場面だと思います。

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思い出の湖を見つめるヘンリー。ロバート・ダウニー・Jrは、MCUのアイアンマン役で有名ですが、こういうひねくれ者だけど周囲との関係に葛藤する役が本当に似合う良い俳優だなと思います。

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昔とはすっかり変わってしまった親子の関係に法廷上で向き合う二人。

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ヘンリーを勇気づける兄のグレン。兄弟のグレンやデイルは、予告内の登場回数は少ないですが要所で重要な役割を担っています。

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ヘンリーのやり方に腹を立て絶縁を突き付けるジョセフと、それでもなお裁判に勝とうと弁護を続けるヘンリー。白熱したやり取りですが、驚くほどテンポよく進み、予告内において無駄がありません。

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最後はドワイト判事とのやり取りで締めくくられますが、この場面によって予告全体が重くなりすぎず軽快にまとめ上げられていると思います。ドワイト判事は今作で親子に敵対する役ですが、悪い人ではないんだなという感じが予告でも十分に表れています。

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印象に残っている場面をあげたら結構な量になってしまいました。

この予告は派手すぎず、重すぎず、どこか爽快感のある後味で、映画館で映画を観る前に流すのに一番ピッタリじゃないかと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。