「嗤う分身」予告 / 不気味な異色作
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「嗤う分身」(2013)の予告をご紹介します。
ジェシー・アイゼンバーグ主演のスリラー作品です。
もう一人の自分が自分を追い詰めていくスリラー!映画『嗤う分身』予告編
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○不気味な異色作
自分と同じ顔の男が自分の前に現れ、次第に自分の位置が奪われていくというストーリーなのですが、予告冒頭のシーンがかなり考えて選ばれているなと思います。自分以外の乗客がいない電車の中である男が自分の前に来て、その席を譲れと要求する。しかし男の顔は隠してあり、本作の不気味な設定が上手く表現されています。
その後ストーリーに沿って進んでいきます。全編を通して画面のコントラストが強く、その点も観てる者の不安感を煽る一因となっている気がします。
主演のアイゼンバーグが一人二役務めていますが、ドッペルゲンガーに混乱し追い詰められていく役と、主人公のいる位置を奪っていく陽気で不気味なドッペルゲンガー役、どちらも完璧に演じているのが予告だけでもわかります。
主人公が思いを寄せるハナ役のミア・ワシコウスカが、この予告ですごく良い味を出していると思います。とても美人で、異常な設定の中で唯一まともな存在に見えるけど、どこか影がありミステリアスな印象も残します。
中盤で主人公に「終わりだ」と宣告するこの男、いったいどういう存在なのか気になります。
そして後半から急に、日本の昭和歌謡が流れます。私も初めて観たときびっくりして、日本の配給会社が変なアレンジを加えたのかと思いましたが、これは実際に監督が作品の世界観に合うと思って劇中歌として採用したものです。
予告では、「昭和歌謡が彩る 強烈な世界観」としか説明がされておらず、まあでもそうとしか言いようがないかと思います。それにしても初見では混乱するでしょう。
異色な予告編として印象に残っていますが、好きな予告編かといわれるとよくわかりません。
読んでいただきありがとうございました。