「プレステージ」予告 / ネタバレしすぎ!?な問題作
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「プレステージ」(2006)の予告をご紹介します。
二人のマジシャンの闘争を描いた作品です。
注意していただきたいのですが、この予告はかなり本編の踏み込んだネタバレを含みます。この映画を未鑑賞で、今後できるだけ事前情報なしで観たい方はこの予告は観ない方が良いと思います。
でも良い予告編ではあるので、あんまり本編を観るつもりのない方や、今後観るにあたって展開が分かっててもまあいいかと思う方はご覧ください。
プレステージ(字幕版)(プレビュー)
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とりあえず予告の印象的な部分を紹介したいと思います。
序盤で二人のマジシャンを紹介する時に、それぞれふさわしい一場面を切り出していて対照的に描写できています。
華麗なパフォーマンスに魂を注ぐアンジャーは、巨大な放電を伴う派手なイリュージョンシーンが選ばれています。
決して見破られることのない天才的なトリックを創造するボーデンは、アンジャーとは違い静かに鳥籠を指でなぞるシーンが選ばれています。
実はこのシーン、本編ではボーデンがマジックを披露しているわけではないのですが、ボーデンの特性を上手く表せているということで予告に取り入れられたのでしょう。予告作りにおいては、多少本編と食い違っても気にしない柔軟な演出が功を奏すことが多いです。
脱出マジック中にアンジャーが脱出に失敗して死亡し、殺人の疑惑を向けられたボーデンは投獄されます。
しかし獄中のボーデンの前に現れたのは、死んだはずのアンジャーでした。
その後は短いシーンを畳みかけて二人の対決を煽ります。
“Nothing is impossible.”
と言い切る謎の男。
“Secret is my life.”
ボーデンの台詞が印象的です。
音楽が止み、スポットライトの中アンジャーが振り返る映像と、「さあ、命を懸けたイリュージョンバトルへようこそ」というナレーションが重なります。シンプルだけど良い演出だと思います。
〇ネタバレしすぎ!?
こんな風に見どころがたくさんある予告なのですが、問題なのは死んだはずのアンジャーが生きていたことを明かすシーンです。
予告を観た人は、本編では序盤の方でアンジャーの事故死と復活が描かれて、そのあとボーデンと蘇ったアンジャーとの闘いが描かれるのかなと思うでしょうが、実際はアンジャーが生きていたと明かされるのは本編のかなり後の方になってからです。当然本編では衝撃的な場面として描かれているのに、それを予告でバラしてしまっていいのか、判断が難しいところだと思います。本編を観たときの驚きが多少なりとも損なわれる一方、これを予告に入れることで予告から伝わる本作の魅力が格段と増しているのも事実です。ちなみにアメリカ本国のオリジナル予告編ではこのネタバレは一切入っていないので、日本版予告で入っているのは日本の配給会社のアレンジです。
The Prestige - Trailer
●予告のネタバレ、どこまで許す?
そもそも予告は本編の映像を使っている以上、多かれ少なかれネタバレを含むものですが、それをどの程度許すかというのは人によると思います。事前情報なしで観たいから予告は観ないという人も結構います。
作品の例でいうと、2018年にインディーズ映画として異例の大ヒットを記録した「カメラを止めるな!」では、本編中盤で明かされるからくりが予告にしっかり入っています。その部分は事前に知っておいてほしいという監督の判断でしょう。
映画「カメラを止めるな!」特報
逆の例として、大ヒット作を連発しているアベンジャーズシリーズの予告では、本編の情報を極力隠すために本編の映像をかなり加工しています。途中でついた傷を消したり、いるはずの人を足したりしています。下の動画は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の予告と本編の比較動画です。
Avengers: Infinity War - Trailer vs Movie Comparison [4K UHD]
私個人としては、本編の展開が多少読めてしまうのはしょうがないとして、ガンガン予告を見ます。おもしろそうな作品を見つけるためには予告編を観るのが一番早いと思っているからです。
後書きが長くなってしまいましたが、本題の「プレステージ」の予告は、さすがクリストファー・ノーラン監督作ということもあり見ごたえがあります。
読んでいただきありがとうございました。