「コングレス未来学会議」予告 / 思いもよらない映像に目が奪われる屈指の名作
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「コングレス未来学会議」(2013)の予告をご紹介します。
これまでいろいろな予告を紹介してきましたが、実は現時点でお気に入り予告のストックはほとんど紹介しきってしまいました。なので、50本目となる今回でこのブログはいったん一区切りとさせていただきます。
そんなわけでこの「コングレス未来学会議」の予告は、最後の隠し玉、とっておきです。
『戦場でワルツを』などのアリ・フォルマン監督作!映画『コングレス未来学会議』予告編
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○思いもよらない映像に目が奪われる屈指の名作
この予告は、不可解な部分は多いけど、印象に残るという点ではトップクラスの作品だと思います。
導入部分で、いきなり主人公の泣いている顔が映し出され、輝きを失ったかつてのスター女優ロビン・ライトについて説明されます。
また彼女には難病の息子がいることが示されます。
この予告、登場人物たちの台詞がすべて際立っているような印象を受けます。
そんな苦境に立つロビンに、ミラマウント社がある契約を持ち掛けます。
それは彼女のすべてをスキャンし、データ化するというもの。ロビンをデータ化してどうするのか、新しい時代とは何なのか…
ミラマウント社のCEOであるジェフの「ロビン・ライト!」という言い方と表情が、彼の計画に対する期待を表しています。
その後、ロビンが車を走らせる場面が急にアニメーションに変わります。
なぜアニメーションに変わったのかという説明は一切ないまま予告は進み、謎のシーンが続きます。よくわかりませんが、2次元の世界は理想郷のように描かれています。
この部分から流れるのが、Robin Wright本人が歌う” Forever Young”という曲です。
本来ならバラバラでまとまりがない予告ですが、この楽曲が持つ強い力でなんとかまとまっているという印象です。
後半では実写とアニメの映像が混ざり合います。
薄汚れ、老け込んでしまったロビン。いったい何があったのか気になります。
“What’s on the other side of the door?”
“Truth”
という会話が最後の台詞となります。向こう側とはアニメーションの世界のことでしょうか。
曲中で” Forever Young”というフレーズが流れると同時に、タイトルロゴと空に浮かんだ未来都市の姿が重なります。
落ち目の女優、難病の息子、人のデータ化、そして3次元から2次元へ。予告ではこれらの事柄がばらばらに流れていき、ストーリーについてはほとんど情報を得ることはできませんが、何かものすごい作品なのではないかという期待が膨らみます。
音楽に関しても特徴的で、不可解な映像が続くからこそ、バックで流れる” Forever Young”という曲の魅力が浮き彫りになっているような気がします。
読んでいただきありがとうございました。