「ザ・ウォーク」予告 / 一番の見せ場をどう切り取るか…
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ザ・ウォーク」(2015)の予告をご紹介します。
1974年、実際にあったある男の挑戦を描いた作品。主演は「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィットです。
映画『ザ・ウォーク』予告1 2016年1月23日(土)公開
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この予告の良いところは、最初と最後の演出、これに尽きると思います。
○冒頭でタワーの高さを印象付ける
はじめに、彼が綱渡りに挑んだワールドトレードセンターについて、地面から時間をかけて視点を上げていくことで、その高さを印象付けます。ビルの外観は実際にあったものとそっくりにデザインされていますが、垂直の線が強調され、ところどころ変化のあるビルのファサードがここの演出にとてもマッチしています。
ここでは411メートルの高さを初めて実感する彼の姿が描写されます。
○綱渡りシーンを最小のカット数で描きインパクトを与える
挑戦の過程が描かれた後、クライマックスでいよいよ綱渡りを決行する場面が描かれています。
ここがこの作品の一番の見どころであり、予告でも使わないわけにはいかなかったのでしょうが、あまり長く使うとネタバレになってしまうし、どのように切り取るか悩まれたのではないかと思います。実際予告に使われたのは数カットですが、十分すぎるほどの緊迫感を感じることができます。
慎重に歩を進める中、鉄骨がきしむ音だけが響きます。
途中で金具が破損し、バランスを崩してしまったところで予告が終了します。とてもハラハラさせられ、思わず結末が気になってしまう上手い終わり方だと思います。
読んでいただきありがとうございました。