映画予告編の悦楽

映画予告編の魅力をひたすら語っていきます!

「哀れなるものたち」予告 / 独創的な映像と音楽で仕上げたSFラブコメ予告

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「哀れなるものたち」(2023)の予告をご紹介します。アラスター・グレイの小説を原作とするSFコメディ作品です。

 

第80回ヴェネチア国際映画祭最高賞、金獅子賞受賞!『哀れなるものたち』予告編│2024年1月26日(金)公開!

https://youtu.be/HLHUXpx05uE?si=5dmcBpTr72X2S9AX

 

 

 

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〇独創的な映像と音楽で仕上げたSFラブコメ予告

不思議で多面的な作品の雰囲気をふんだんに盛り込んだ、他にはないテイストの予告となっています。

 

とある実験の最中でまだ脳と身体がちゃんとつながっていないというベラは、自由奔放で常識にとらわれない振る舞いを見せます。そのような描写が予告中で幾度も表れるのですが、ぎこちなさすぎるウィンクなど切り取り方がとても上手く、この作品のコメディ的な側面を強く印象付けています。

 

もう一つ、彼女の成長という要素も作品の大事なテーマとなっています。屋敷の中では無表情で体を動かしていた彼女が、ダンスパーティで心底楽しそうに踊り回るカットが個人的にこの予告の中で最も印象に残っています。白黒からカラーの映像に切り替わることでより劇的に演出されているように感じます。音楽も他の予告では聴かないような独特で軽快な楽曲が使われています。

 

映像の色彩表現もバラエティに富んでいて、モノクロから色彩豊かな景色、同系色に統一された場面など予告中で次々に色調が切り替わる映像は観ているだけでも楽しいです。

 

彼女の奔放な生き方を肯定する女性、どういう役柄かはわかりませんがとても良い表情をしています。

 

終盤はベラと恋に落ちた男性(マーク・ラファロ)との恋模様を描いていますが、ベラが突然ビンタし、彼の呆気にとられた表情のまま急にタイトルが映し出されます。この予告自体も常識にとらわれない構成です。最後の気の抜けたような音も不思議な余韻を残してくれます。

 

読んでいただきありがとうございました。