映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「悪魔と夜ふかし」(2023)の予告をご紹介します。オーストラリアで製作されたホラー作品です。
映画『悪魔と夜ふかし』本予告
https://youtu.be/f9DsuTllLEM?si=qKud-U1ZBBwPPsRu
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〇悪魔×生放送 という舞台設定
生放送中に前代未聞の放送事故が起こった番組の実際の記録映像、という設定です。この設定だけでとてもワクワクさせられてしまいます。
主演はデヴィッド・ダストマルチャン。コメディ番組司会者の軽妙かつ胡散臭い感じが良く出ています。
画質や画面構成も一昔前のテレビ番組のような安っぽさを再現しています。
生放送でオカルトショーを実演するという企画ですが、登場する霊能力者たちは偽物ばかりで、まるで緊張感がありません。
ここまで30秒ほどですが、とてもよくまとまっていて観ている人を作品の世界観へ上手く引き込んでいます。
悪魔と交信できるという少女リリーが登場してから、空気が変わります。
悪魔に乗り移られた様子から、彼女は今までの出演者のように演技をしているわけではないことが分かります。
後半は、リリーの様子だけではなく、進行を危ぶむ共演者の声や、それでも視聴率のために危険な生放送を続行しようとする司会者ジャックの台詞を切り取ることで、オカルトショーの生放送という舞台設定が持つライブ感やパニック感を存分に表現しています。
そして最後に、リリーに乗り移った悪魔はジャックに話しかけます。両者の間にどんな因縁があるのか、思わず本編が気になってしまいます。
前半ではこなれた様子で司会をしていたジャックの狼狽ぶりが、予告内で良い落差を生んでいます。
「ボーはおそれている」の予告と同様に、この予告は日本語版がとてもよくできているなと思います。(たまたまナレーションの声が同じ人ですね)
邦題や日本版ポスターも作風に合っているように感じます。
読んでいただきありがとうございました。