映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ブラックボックス:音声分析捜査」(2021)の予告をご紹介します。
音声分析官を描いたフランスのサスペンス作品です。
映画『ブラックボックス:音声分析捜査』予告編
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〇"音"を巧みに使ったサスペンス予告
墜落事故の生々しい音声から始まり、突然場面転換してその音声をヘッドフォンで聞いている主人公の顔が映ります。あまり馴染みのない音声分析官の仕事を分かりやすく表現できている良い導入です。
大げさすぎない驚き、困惑の表情が彼の冷静な仕事ぶりを表しているように思います。
主人公が音声ファイルの違和感に気付くところから、テンポアップして次々と気になる場面が畳みかけられます。
テロップをタイピング風に表示するのも、事故をデータ上で捜査する分析官の仕事を表せていて作品によく合っている演出だと思います。
「それは 開けてはならない パンドラの箱」という言葉は、ブラックボックスと上手くかかっており、冷静なナレーションの声と相まってとても印象的です。
一瞬のカットですが、ゼッケンを着た人たちが流れ込む映像が、墜落事故からは想像できずすごく気になります。
この作品で扱うのは音声の記録がメインなのでしょうが、こういった記録映像のようなものも予告で効果的に使われています。
最後は、急に静かになって「メーデー、メーデー!」というかすかな声に主人公が気づく場面で終了します。
結構短い予告ですが、本編の素材を上手く使って作品の魅力を十分に伝えられていると思います。
読んでいただきありがとうございました。