「ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー」予告 / 構成の妙が光る現代アート×ホラー予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー」(2019)の予告をご紹介します。Netflix制作の、アート作品にまつわるホラー映画です。
『ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー』予告編 - Netflix [HD]
https://youtu.be/atAKGtyGQww?si=i7kw-C4RvNBpvVBR
*******
〇構成の妙が光る現代アート×ホラー予告
分かったような顔でアート作品を批評する主人公を演じるのはジェイク・ギレンホール。胡散臭い演技もとてもよく似合います。
本当は彼に審美眼などなく、アートを金儲けの手段としてしか見ていないことが示唆されます。
ある作家の遺作が人気を博しますが、不可解にもその絵画の中の人物たちは意思を持ったように動き、ついには人間を襲い始めます。
予告序盤に気取った様子でアートを語っていた彼が、あまりにも異常な現象に取り乱しているという振り幅が短い予告の中でも分かりやすく表現されています。
そしてその現象は他のアート作品にも及び始め、酷評された作品たちも人間を襲い出します。ここもやはり序盤で描かれたことが振りとしてよく効いています。
締めの場面も良く選び抜かれていると思います。球状の作品に女性が殺害されてしまいますが、被害者の女性も込みで作品だと捉えられ、SNS上で拡散されてしまいます。
最後に一番怖い場面を持ってきてインパクトを残すこともできたと思いますが、あえてこの場面を選ぶことで作品全体の雰囲気を暗すぎないものにして、観る人の裾野を広げられていると思います。作品のテーマの一つである現代アート業界への皮肉も込められていて、良い役割を果たしています。
読んでいただきありがとうございました。