「ディザスター・アーティスト」予告 / 有名(?)な場面を再現したティザー予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ディザスター・アーティスト」(2017)の予告をご紹介します。2003年に公開された「ザ・ルーム」という映画の製作過程を描いた作品です。
「ザ・ルーム」は公開当時、理解不能な脚本や拙い演技などにより酷評されましたが、後年一部マニアたちから一周回ってカルト的な人気を博すようになりました。監督・主演であるトミー・ウィゾー本人の謎多き言動も人々を引き付けています。
The Disaster Artist | Official Teaser Trailer HD | A24
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〇有名(?)な場面を再現したティザー予告
日本語字幕がついていないですが、あるシーンの撮影をしているということさえ分かれば大丈夫だと思います。
これまでにご紹介した「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」や「インターステラー」の予告と同様にこれはTeaser Trailerといって本予告が出る前の短めの予告編となっています。
「ザ・ルーム」は不可解な場面の多い作品ですが、その中でも代表的な屋上のシーンの撮影風景を再現した場面がこの予告で使われています。気怠そうな演技から急に何事もなかったかのように"Oh hi Mark"と呼びかける不自然さや独特のイントネーションなどがよく指摘されるシーンです。普通に建物の屋上で撮影すれば良いのに、わざわざグリーンバックで撮影して街の景色を合成したことでかえって違和感を生んでいることも指摘されています。
この有名(?)なシーンの撮影風景が描かれているだけで、一部のファンにはたまらなかったのではないでしょうか。この映像自体がやや手ブレしていてドキュメンタリー感が出ています。
やる気があるのかないのか分からない主演のトミーや彼の謎のこだわりに付き合わされる製作スタッフたちを端的に表した場面で、Teaser Trailerにぴったりの切り取り方だと思います。脈絡のない台詞を何回も復唱させられるスタッフが気の毒になります。
ただラストで無事にシーンを撮り終えた瞬間はスタッフたちの一体感が感じられ、短い予告の中で良い場面としてまとまっています。
ちなみに元となった「ザ・ルーム」は日本では上映されずDVDなどの販売もありませんでしたが、この「ディザスター・アーティスト」の効果もあってか近年日本での需要も高まり2020年に一部劇場で限定公開されました。そのときプロモーション予告が作られましたが、作品を”駄作”として紹介する世にも珍しい予告となっています。
世界中で愛された奇跡の駄作!伝説のカルト映画『ザ・ルーム』予告編
読んでいただきありがとうございました。