映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「スペシャリスト 自覚なき殺戮者」(1999)の予告をご紹介します。ナチスの親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンを被告人とする裁判の記録映像を基に構成された作品です。
「アイヒマン裁判」を描いた傑作ドキュメンタリー/映画『スペシャリスト』予告編
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〇裁判の記録映像から浮かび上がるもの
数百万人に及ぶユダヤ人の強制移送を指揮した人物がどんな悪人面をしているのかと思えば、被告人席に立つアイヒマンはどこにでもいる小役人にしか見えず、そのことが世間に衝撃を与えました。予告後半に現れる字幕の「悪の凡庸さ」とはそのことを指しています。
神経質に眼鏡を拭く男に特別変わったところは見られません。彼は猟奇的なサイコパスなどではなく、ただ命令を忠実にこなすタイプの人間であったことがナレーションで語られます。
アイヒマンは、法廷で死刑が求刑されました。
記録映像ならではの生々しさが予告でも如実に表れています。
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