「帰ってきたヒトラー」予告 / 観る者をドキリとさせる構成力
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「帰ってきたヒトラー」(2015)の予告をご紹介します。
ヒトラーが現代に蘇ったら…というお話。
映画『帰ってきたヒトラー』予告編
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〇観る者をドキリとさせる構成力
この予告はヒトラーがモノマネ芸人になったらというコミカルなパートと、彼が本性を現し始めるシリアスなパートに分かれるのですが、短い予告の中でもどちらかに振り切ることなく観てる人をちゃんと揺さぶれていることが凄いと思います。
前半の、ヒトラーが復活してモノマネ芸人として活躍するパートはBGMを含めてかなりコミカルに描かれています。
しかし後半でヒトラーが徐々に人々の心を掌握していく場面は、はしごを外されたような怖さを感じます。
「ヒトラーは、ヒトラーだった」というナレーションと彼の微笑む顔のカットが、この予告の中でターニングポイントになっていると思います。
生前のヒトラーを知るお年寄りが彼を問い詰めるシーンは、この設定ならではですね。
ただし、後半でも彼の人間らしい一面を見せて完全な悪人として描いていないところが丁寧だと思います。
現代において彼は善人なのか悪人なのか、2方向に揺さぶられた後の締めのワンカット、ここは結構重要だと思うのですが、絶妙なシーンを持ってきたなと思います。
両極端のどちらでもなく、メールアドレスがすでに使用されているという細かいあるあると、それに対するヒトラーの何とも言えない顔を最後に持ってくることで、どちらも台無しにせずに上手く予告を締められています。
BGMもクラシックを使用しているのが作風に合っていると思います。
読んでいただきありがとうございました。