映画予告編の悦楽

映画予告編の魅力をひたすら語っていきます!

「クリスティーン」予告 / 繊細なグラデーションで女性キャスターの悲劇を描写

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「クリスティー」(2016)の予告をご紹介します。実話を基にしてある女性キャスターの悲劇を描く作品です。日本語字幕はついていない英語版の予告なのでご了承ください。

 

Christine (2016) | Official Trailer HD

https://youtu.be/grpEVD0TU8U?si=PmG3rHuz4yhxX4ib

 

YouTubeで外国語の動画に日本語字幕を付ける方法

これまでも何度か日本語字幕のついていない外国の予告編を紹介してきましたが、そういった動画にYouTube上(PC版)で日本語字幕を付ける方法を紹介します。

①画面右下の四角いアイコンを押して字幕をオンにする。

②その隣の設定ボタンから字幕→自動翻訳→日本語を選択する。

動画の設定で字幕を付けられないものもあるので注意してください。最近は大手の配給会社なら元から英語字幕を付けていることが多く、それを日本語訳する場合はまあまあの精度になりますが、英語字幕がなく自動で音声を認識してそれを日本語訳する場合は結構不自然な日本語になることが多いです。まあ予告ならだいたいのニュアンスが分かれば十分楽しめます。

マイナーな映画の予告や公開されたばかりで日本語字幕版がまだ公開されていない予告などを観るときはいつもこうやって観ています。

 

 

 

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この作品、日本語版の予告がないどころか日本でDVDも発売されていないし配信もないので日本で観ることは困難です。そんな映画の予告を紹介してしまって大変申し訳ないです。

探せばあらゆる映画を観ることができると普段は思っていますが、予告を漁っていると本編にアクセスできない作品が意外に多いということに気づかされます。

 

〇繊細なグラデーションで女性キャスターの悲劇を描写

この作品は1974年にクリスティーン・チャバックというアメリカの女性キャスターがニュース番組の生放送中に拳銃自殺を遂げた事件を描いています。予告を観ただけではそのことがよく分からなかったかもしれないので、この背景を知ったうえでぜひもう一度観てみてください。

 

前半では不満を抱えながらも前向きに仕事するクリスティーンの様子を軽めのBGMに乗せて描きます。この段階ではまだ最後に起こる悲劇を想像することはできせん。

 

途中から不穏な音楽に転換し、彼女の精神状態が不安定になっていきます。

 

視聴者を驚かせるようなニュース番組を作るべきだという彼女の顔は、何か決心しているように見えます。

 

テレビ史上初となるものをこれから見せるという彼女が、鞄から拳銃を取り出そうとしていることが分かります。

 

この予告は最後の演出が素晴らしく、思わずぞっとするような終わり方です。

最後は無言で画面を見つめるクリスティーンの表情が映し出されます。悲壮感はなく、これから起こることにワクワクしているような前向きな表情が余計に怖く見えます。

事件のことを知っている人は、最後に無音で彼女の姿が映し出された後、銃声が響いて予告が終わるのではないかと予想したことでしょう。ですがこの予告ではあえてそのような過激な演出は避け、彼女のワンショットから静かにタイトルへ切り替わり予告の幕が下ります。彼女の内に秘めた孤独、絶望がより際立つような締め方だと思います。



 

この作品の予告はGolden Trailer AwardsのBest Independent賞にノミネートされており、私はそれをきっかけに知りました。

せっかくなのでGolden Trailer Awardsについてご紹介したいと思います。

 

●予告の祭典 Golden Trailer Awards

優れた映画作品に贈られる賞はアカデミー賞など多数ありますが、予告を表彰するための賞もあり、それがGolden Trailer Awardsです。年に1回アメリカで開催され、世界各国の映画予告や映画のテレビCM、さらには映画のポスター、ビデオゲームの予告まで多数の部門で優れた作品が表彰されます。以下のホームページから過去の受賞作を見ることができます。

 

https://goldentrailer.com/

 

ちなみに2023年の最優秀賞はクリストファー・ノーラン監督作”Oppenheimer”の予告でした。

Oppenheimer | New Trailer

https://youtu.be/uYPbbksJxIg?si=8UyqgVOcwYmlaaPv

 

このブログでこれまでに紹介したものの中でも、「ブラックパンサー」「1917 命をかけた伝令」「NOPE/ノープ」などの予告がGolden Trailer Awardsで部門賞を授与されています。

 

ホームページではここ10年ぐらいのノミネート作品がパンフレット形式でまとめられており、どの予告もレベルが高いので観ていて楽しいです。特にBest Teaser賞は各作品の個性が表れていておすすめです。

 

読んでいただきありがとうございました。