映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」(2015)の予告をご紹介します。
ジェイク・ギレンホール主演の人間ドラマ。原題は” Demolition”で、「解体」の意味です。
ジェイク・ギレンホール主演『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』予告編
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○たった2分でもジェイクの演技が心に残る
序盤は予想外に物語が進みますが、後半からものすごく優しい着地を見せるという割と珍しいタイプの予告かなと思います。
冒頭の唐突な交通事故の画と、淡々としたナレーションのギャップが強くて、さっそく作品に引き込まれます。
主人公のデイヴィスは、妻を亡くしたにも関わらず悲しみの感情が沸かないと打ち明けます。鏡の前で泣こうとしてもすぐ真顔に戻ってしまうシーンが、デイヴィスの混乱した感情を表しています。
そして、自動販売機の会社に苦情の手紙を送ったことからシングルマザーのカレンと息子のクリスに出会います。この部分はあまり省略せずストーリー通りに描かれています。
周囲の助言もあり、感情を取り戻すためにまず今あるものをすべて壊そうと決意し、カレンとともに家を解体していきます。
流れている曲はHeartの” Crazy On You”です。場面に合うようにテンポの良い激しめの曲が選ばれています。
Heart - Crazy On You • TopPop
そのあと急に、Half Moon Runの” Warmest Regards”という穏やかで優しい曲に変わります。
Warmest Regards (Official Version)
BGMの落差が凄いですが、これも物語のそれぞれのパートに合うように選ばれた結果だと思います。
「最強のふたり」と同じパターンで、前半にメジャーな曲を当てて、後半にインディーズバンドのあまり知られていない曲を抜擢しています。
曲が” Warmest Regards”に変わってからは、とにかくギレンホールの演技、表情が素晴らしくて心に残ります。
「ジェイクが全身全霊の演技でまた魅せてくれる」
と海外誌の評が出てきますが、本当にそうだなと思います。
車中でメモを見て涙を見せるシーンは、前半で泣こうとしても泣けない描写があったからこそ、心が正常に戻ってきてるんだということが分かります。
ちなみに邦題の「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は、ここの青いメモに書いてある言葉からとっているようです。
最後のカレンとのシーンもとても良いです。
他の予告とはちょっと違った構成かもしれませんが、心に残るシーンがたくさん詰まった素晴らしい作品です。
あと、予告とは関係ないですが、前回紹介した「THE GUILTY/ギルティ」が、ジェイク・ギレンホール主演でハリウッドリメイクされるそうです。
読んでいただきありがとうございました。