「ソーシャル・ネットワーク」予告 / 高難易度のテーマを見事に仕上げた傑作予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ソーシャル・ネットワーク」(2010)の予告をご紹介します。
マーク・ザッカーバーグがFacebookを立ち上げ、様々な困難に直面する物語です。主演はジェシー・アイゼンバーグ。
このブログで紹介する作品の中では妙にアイゼンバーグの出演率が高いです。
映画『ソーシャル・ネットワーク』予告編
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○高難易度のテーマを見事に仕上げた傑作予告
この予告は、本編から抱くイメージとは異なったアプローチをしていて、かなり攻めた演出といえるでしょう。
本作は登場人物たちの成長や衝突をテンポの速い台詞回しで描いていることが特徴なのですが、この予告ではBGMとして聖歌隊の合唱歌風の曲を使っていて、とても荘厳な雰囲気を醸し出しています。Scala & Kolacny Brothersの” Creep”という曲です。
Creep
予告の最初はいきなり物語に入るのではなく、Facebook上で行われる、いいねや友達申請といった行為が映し出されます。多くの人が実際に経験のあることだと思うので、一気に作品に引き込むことができます。
そして、Facebook上のアカウントの一つとしてザッカーバーグの顔が表示されます。ちょっとしたことですが、導入部分と本筋の物語をなめらかにつなぐ素晴らしい演出だと思います。
その後、サイト設立の経緯と、サイトが自分たちの予想をはるかに超えて広がっていく様子が描かれます。大金を扱うこととなり、次第に社員や昔の仲間との衝突が生まれます。
字幕の言葉選びも印象に残るようかなり考えられています。
最後の場面では、白い目で見られても自分の思うようにやろうとするアイゼンバーグが、大人たちに囲まれた一人の青年として描かれます。サイトを立ち上げた頃の彼に戻ったような印象を与え、予告編としても非常にまとまりが良いです。
一つの楽曲だけを使って予告編を作るのは意外と難しいと思うのですが、この予告は作風とイメージの異なる曲を一曲選んで作品に仕上げるというさらに難易度の高いことをやっています。
またBGM以外のところでも小技が随所で光っています。
読んでいただきありがとうございました。