「(500)日のサマー」予告 / 繊細で軽やかなラブロマンス予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「(500)日のサマー」(2009)の予告をご紹介します。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットとズーイー・デシャネル主演のラブストーリー。
(下の予告動画にはこの映画の予告の後に他のレンタル作品の予告もついています)
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〇繊細で軽やかなラブロマンス予告
この作品は物語の中で何か衝撃的なことが起こるわけではないので、予告は作りにくい部類かもしれませんが、丁寧に作ってあって作品が持つ魅力を上手く伝えています。
運命の恋を信じるトムが真実の愛を信じないサマーに振り回される様子が繊細に、軽やかに描かれています。
最初のエレベーターのシーンで、自由なサマーと彼女に見とれてしまうトムを見せることで二人の立ち位置を明確に示すことができています。
前半では二人が出会って恋に落ちていく様子を描いていて、幸福感が伝わってきます。
この映画は二人が出会ってから500日間の物語を日数に沿ってカレンダー的に描いているのですが、予告の所々で一部をストップモーションみたいにコマ送りにしてるのはカレンダーっぽさを出すためかなと思います。
後半ではBGMが変わって、二人がすれ違い、思い悩む様子が描かれます。
後半の音楽は、Regina Spektorの”Us”です。(ちなみにこのミュージックビデオでもコマ送りの表現が用いられています)
音楽が転調するタイミングと、サマーがトムの手を拒むシーンが重なり、些細な場面ですが切なさが伝わってきます。
青い鳥のアニメーションが加わったり、バスの乗客が全員サマーに見えたり、街が鉛筆画のようなタッチになったりというような変わった表現の場面も予告に採用しています。現実的な物語の中に非現実的な描写がある作品は予告でも奥行きを持ってるような印象を与えるので積極的に使われている気がします。
最後のシーンは、作った人のこだわりが見えてかなり気に入ってます。
「運命の恋」について揺れ動くストーリーを描いた最後に、結論として「運命の恋なんて、あるに決まってる。」という字幕を出すのですが、ナレーションではあえて途中までしか読みません。文字として出しながらも結論は主人公たち、そして観客にゆだねたいということなのではないでしょうか。
それとも、トムの晴れやかな顔を見れば言わなくてもわかるでしょ、ということなのでしょうか。
読んでいただきありがとうございました。