「バビロン」予告 / ハリウッド黄金期を舞台にした派手予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「バビロン」(2022)の予告をご紹介します。1920年代黄金期のハリウッドで夢を叶えようとする男女を描いた作品です。
映画『バビロン』特報(完全版)
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〇ハリウッド黄金期を舞台にした派手予告
とにかく派手なシーンを畳みかけることで、観ていて楽しい予告に仕上がっています。
この映画は本編の上映時間が3時間を超えていることもあり、パーティのシーンや撮影現場のシーンなど派手で見ごたえのある場面が多く、それらを惜しげもなく予告に盛り込んでいます。
付け鼻を付けて電話をしているブラッド・ピットの真横に飛んできた槍が突き刺さるシーンは、なんというか映画的で、良い切り取り方だなと思います。
BGMは全編でトランペットの音が特徴的な楽曲を使用していますが、予告中で何度かパーティで演奏するトランぺッターのカットを挟むことでよりBGMが印象的になっているように感じます。作中でこの人が演奏している曲と予告で流れている曲が同じかはわかりませんが、最後のタイトルロゴのバックも奏者のアップとなっておりかなり強調されています。
泥酔したブラッド・ピットが柵から落ちたり、最後のマーゴット・ロビーが蛇と戦ったりする場面など、音楽を止めて抜くところもちゃんと作っていて、タイミングも内容的にもちょうど良い塩梅だなと思います。
個人的に上手いと思ったは、後半の作り方です。通常の予告は映画本編の起承転結の流れに沿って作られるため、「転」のところで予告のトーンがガラリと変わる作品が多いです(「プアン/友だちと呼ばせて」の予告が良い例かと思います)。こうすることで予告の中で落差が生まれてより引き込まれるやすくなる効果があると思います。
しかし今回の「バビロン」の予告では急にトーンを変えるのではなく、徐々に歯車が狂っていく様子を、音楽を少しずつ変えるなどグラデーションで描いているので、予告前半の良い勢いを殺すことなく最後まで突っ走っています。
この後半のパートでは人だけでなくゾウやワニなど動物が暴れるカットも差し込まれており、より一層ゴチャゴチャ感が増していて楽しいです。
読んでいただきありがとうございました。