「ハウス・オブ・グッチ」予告 / 豪華キャストの名演が凝縮された贅沢な予告
映画予告編の魅力について語っていきます。
今回は「ハウス・オブ・グッチ」(2021)の予告をご紹介します。
世界的ファッションブランド「グッチ」創業一家のお家騒動を描いた作品。
映画『ハウス・オブ・グッチ』本予告<1月14日(金)全国公開>
*******
〇豪華キャストの名演が凝縮された贅沢な予告
グッチ家についてナレーションから始まり、彼らが持っているもの、パトリツィアが欲しかったものを明確に描きます。
この冒頭で使われているのは豪邸のシーンだけなのでとてもまとまりがあり、かつグッチ家の特性を十分に伝えられています。
予告後半では富にとらわれ狂っていくパトリツィアですが、序盤ではまだグッチ家に馴染めずあっけにとられる表情を入れているのが予告としてとても丁寧です。
ジャレッド・レト演じるパオロ・グッチが男たちの取っ組み合いに参加させられ負傷する場面は、少しドキッとさせられます。
予告の大部分でEurythmicsによる” Sweet Dreams (Are Made Of This)”という楽曲が使用されています。グッチ家の派手さや危うさをよく引き出しているぴったりの曲と思います。
(有名な曲ですが、私にとっては「X-MEN: アポカリプス」の本編においてクイックシルバーが高速移動するシーンで1曲まるまる使われていたのがとても印象に残っています)
Eurythmics, Annie Lennox, Dave Stewart - Sweet Dreams (Are Made Of This) (Official Video)
予告の中で登場人物と演じる役者を紹介するパートを入れるのはよくありますが、この作品はキャストが本当に豪華で、ここだけでも観る価値があると思います。
特にジャレッド・レトの調子に乗ったポーズがたまりません。
「グッチは希少種だ」と言う弁護士ドメニコ・デ・ソーレが、第三者的視点で予告においても厚みを持たせています。
(この作品の本編も鑑賞したのですが、この役を演じるジャック・ヒューストンのカッコよさが尋常ではなく、とてつもない豪華キャストの中でもきっちり自分の役割を全うしていてとても印象的でした)
「女の出る幕はない」と突き放されてから、パトリツィアが徐々に暴走していきます。
予告後半ではグッチ家の人々が感情を爆発させる場面が続きます。前半から上品で気取ったグッチ家の人々を描いていただけに、彼らが翻弄される姿は予告だけでも痛快に感じます。
パオロが新聞で頭をたたくのとBGMの効果音が一致していて芸が細かいですね。
そしていよいよ、パトリツィアが暗殺を指示する場面となります。
この展開は本編では当然クライマックスの山場として描かれていて、普通の作品ではこのような大事なシーンはネタバレになってしまうので使わないと思いますが、「ハウス・オブ・グッチ」は実話に基づく作品で暗殺も周知の事実とされているので、この場面も堂々と予告に入れることができています。予告的にかなりプラスに働いていると思います。
最後は暗殺を正当化しようとするパトリツィアの発言で予告が締められます。この作品、癖の強い登場人物たちが多数出てきますが、やはりこれはパトリツィアの物語であり、彼女の恐ろしさを最後に印象付けられている点が、予告として筋が通っていると思います。
読んでいただきありがとうございました。