映画予告編の悦楽

映画予告編の魅力をひたすら語っていきます!

「クロニクル」予告 / 興味を引きつけるための工夫を凝らした予告作品

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「クロニクル」(2012)の予告をご紹介します。3人の高校生が主人公のSF作品です。

 

映画「クロニクル」予告編

https://youtu.be/StX8ww4AmtI?si=H1O1hMgaZCznumvS

 

 

 

*******

 

 

 

〇記録映像として描かれたファウンド・フッテージ方式の作品

この作品は主人公たちのビデオカメラや店の防犯カメラなどの映像で構成されているので、予告も基本的にそのような映像が使われています(ファウンド・フッテージ方式というらしいです)。

2時間の映画をこの形式で飽きさせずに見せるのは工夫がいりそうですが、2分の予告ならそれだけでも他の予告にはない"引き"になります。

 

触れずに物を動かすサイコキネシスのような力を手に入れた若者たち。最初はちょっとしたいたずらに使っており、若者たちの悪ノリ的な雰囲気がビデオカメラで撮影した映像とよく合います。

 

そんないたずらも徐々にエスカレートしていき、しまいには車を池に突き落とし運転手を死亡させてしまいます。細かいですが、このパートの最後の方で音が途切れており彼らのパニック感を上手く表せていると思います。

 

3人の中でアンドリューがどんどん能力を強めていき、最終的には警察に囲まれてパトカーを何台も吹き飛ばしてしまいます。

 

○意表を突く最後の仕掛け

ここまででも十分面白いですが、最後にもう一つ仕掛けを用意しているのがこの予告の素晴らしいところです。記録映像であるという特質を生かしてこの予告全体を早送りで巻き戻し、予告の冒頭よりもさらに前、彼らが力を手に入れる発端となった場面を映します。洞窟のようなところで何があったのか、俄然興味が湧いてきます。普通に時系列に沿って流すよりもはるかに効果的な演出です。

 

また巻き戻ることで彼らがエスカレートしていく様子をもう一度俯瞰してみることができ、より印象的になっています。

 

読んでいただきありがとうございました。

「哀れなるものたち」予告 / 独創的な映像と音楽で仕上げたSFラブコメ予告

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「哀れなるものたち」(2023)の予告をご紹介します。アラスター・グレイの小説を原作とするSFコメディ作品です。

 

第80回ヴェネチア国際映画祭最高賞、金獅子賞受賞!『哀れなるものたち』予告編│2024年1月26日(金)公開!

https://youtu.be/HLHUXpx05uE?si=5dmcBpTr72X2S9AX

 

 

 

*******

 

 

 

〇独創的な映像と音楽で仕上げたSFラブコメ予告

不思議で多面的な作品の雰囲気をふんだんに盛り込んだ、他にはないテイストの予告となっています。

 

とある実験の最中でまだ脳と身体がちゃんとつながっていないというベラは、自由奔放で常識にとらわれない振る舞いを見せます。そのような描写が予告中で幾度も表れるのですが、ぎこちなさすぎるウィンクなど切り取り方がとても上手く、この作品のコメディ的な側面を強く印象付けています。

 

もう一つ、彼女の成長という要素も作品の大事なテーマとなっています。屋敷の中では無表情で体を動かしていた彼女が、ダンスパーティで心底楽しそうに踊り回るカットが個人的にこの予告の中で最も印象に残っています。白黒からカラーの映像に切り替わることでより劇的に演出されているように感じます。音楽も他の予告では聴かないような独特で軽快な楽曲が使われています。

 

映像の色彩表現もバラエティに富んでいて、モノクロから色彩豊かな景色、同系色に統一された場面など予告中で次々に色調が切り替わる映像は観ているだけでも楽しいです。

 

彼女の奔放な生き方を肯定する女性、どういう役柄かはわかりませんがとても良い表情をしています。

 

終盤はベラと恋に落ちた男性(マーク・ラファロ)との恋模様を描いていますが、ベラが突然ビンタし、彼の呆気にとられた表情のまま急にタイトルが映し出されます。この予告自体も常識にとらわれない構成です。最後の気の抜けたような音も不思議な余韻を残してくれます。

 

読んでいただきありがとうございました。

「マグニフィセント・セブン」予告 / 作品の無骨なイメージを最大限に引き出す

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「マグニフィセント・セブン」(2016)の予告をご紹介します。デンゼル・ワシントン主演の西部劇アクション作品。

 

映画『マグニフィセント・セブン』予告編

https://youtu.be/ATebNTY-mi8?si=_ynxG-136q__6EmW

 

 

 

*******

 

 

 

〇作品の無骨なイメージを最大限に引き出す

物語の導入部分はよくある感じですが、2人目のクリス・プラットが出てきてから加速度的に見応えある予告になっていきます。

 

デンゼル・ワシントンに勧誘されたときのクリス・プラットの表情、これだけで彼のキャラクターが良く伝わってきます。

 

その後残りの仲間たちが次々と登場します。それぞれナンバーと役柄を付けて表示するのは米国のオリジナル予告にはなく日本語版のアレンジですが、これによってすごく見やすくなったと思います。

 

クライマックスで7人が集結してからの活躍を描くパートはロック調のBGMも相まって、とても作風に合った格好良いものになっています。

 

7人であることを際立たせるため、「相手は何人だ?」という敵役の問いから無言で立つ7人の立ち姿を見せて、最後にタイトルでもある「マグニフィセント・セブン」を映し出すという演出がとてもスタイリッシュです。

 

こういう系の作品が好きな人に確実に刺さる良い予告だと思います。

 

読んでいただきありがとうございました。

「クリスティーン」予告 / 繊細なグラデーションで女性キャスターの悲劇を描写

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「クリスティー」(2016)の予告をご紹介します。実話を基にしてある女性キャスターの悲劇を描く作品です。日本語字幕はついていない英語版の予告なのでご了承ください。

 

Christine (2016) | Official Trailer HD

https://youtu.be/grpEVD0TU8U?si=PmG3rHuz4yhxX4ib

 

YouTubeで外国語の動画に日本語字幕を付ける方法

これまでも何度か日本語字幕のついていない外国の予告編を紹介してきましたが、そういった動画にYouTube上(PC版)で日本語字幕を付ける方法を紹介します。

①画面右下の四角いアイコンを押して字幕をオンにする。

②その隣の設定ボタンから字幕→自動翻訳→日本語を選択する。

動画の設定で字幕を付けられないものもあるので注意してください。最近は大手の配給会社なら元から英語字幕を付けていることが多く、それを日本語訳する場合はまあまあの精度になりますが、英語字幕がなく自動で音声を認識してそれを日本語訳する場合は結構不自然な日本語になることが多いです。まあ予告ならだいたいのニュアンスが分かれば十分楽しめます。

マイナーな映画の予告や公開されたばかりで日本語字幕版がまだ公開されていない予告などを観るときはいつもこうやって観ています。

 

 

 

*******

 

 

 

この作品、日本語版の予告がないどころか日本でDVDも発売されていないし配信もないので日本で観ることは困難です。そんな映画の予告を紹介してしまって大変申し訳ないです。

探せばあらゆる映画を観ることができると普段は思っていますが、予告を漁っていると本編にアクセスできない作品が意外に多いということに気づかされます。

 

〇繊細なグラデーションで女性キャスターの悲劇を描写

この作品は1974年にクリスティーン・チャバックというアメリカの女性キャスターがニュース番組の生放送中に拳銃自殺を遂げた事件を描いています。予告を観ただけではそのことがよく分からなかったかもしれないので、この背景を知ったうえでぜひもう一度観てみてください。

 

前半では不満を抱えながらも前向きに仕事するクリスティーンの様子を軽めのBGMに乗せて描きます。この段階ではまだ最後に起こる悲劇を想像することはできせん。

 

途中から不穏な音楽に転換し、彼女の精神状態が不安定になっていきます。

 

視聴者を驚かせるようなニュース番組を作るべきだという彼女の顔は、何か決心しているように見えます。

 

テレビ史上初となるものをこれから見せるという彼女が、鞄から拳銃を取り出そうとしていることが分かります。

 

この予告は最後の演出が素晴らしく、思わずぞっとするような終わり方です。

最後は無言で画面を見つめるクリスティーンの表情が映し出されます。悲壮感はなく、これから起こることにワクワクしているような前向きな表情が余計に怖く見えます。

事件のことを知っている人は、最後に無音で彼女の姿が映し出された後、銃声が響いて予告が終わるのではないかと予想したことでしょう。ですがこの予告ではあえてそのような過激な演出は避け、彼女のワンショットから静かにタイトルへ切り替わり予告の幕が下ります。彼女の内に秘めた孤独、絶望がより際立つような締め方だと思います。



 

この作品の予告はGolden Trailer AwardsのBest Independent賞にノミネートされており、私はそれをきっかけに知りました。

せっかくなのでGolden Trailer Awardsについてご紹介したいと思います。

 

●予告の祭典 Golden Trailer Awards

優れた映画作品に贈られる賞はアカデミー賞など多数ありますが、予告を表彰するための賞もあり、それがGolden Trailer Awardsです。年に1回アメリカで開催され、世界各国の映画予告や映画のテレビCM、さらには映画のポスター、ビデオゲームの予告まで多数の部門で優れた作品が表彰されます。以下のホームページから過去の受賞作を見ることができます。

 

https://goldentrailer.com/

 

ちなみに2023年の最優秀賞はクリストファー・ノーラン監督作”Oppenheimer”の予告でした。

Oppenheimer | New Trailer

https://youtu.be/uYPbbksJxIg?si=8UyqgVOcwYmlaaPv

 

このブログでこれまでに紹介したものの中でも、「ブラックパンサー」「1917 命をかけた伝令」「NOPE/ノープ」などの予告がGolden Trailer Awardsで部門賞を授与されています。

 

ホームページではここ10年ぐらいのノミネート作品がパンフレット形式でまとめられており、どの予告もレベルが高いので観ていて楽しいです。特にBest Teaser賞は各作品の個性が表れていておすすめです。

 

読んでいただきありがとうございました。

「君たちはどう生きるか」予告 / 事前情報なしの鑑賞体験について

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「君たちはどう生きるか」(2023)の予告をご紹介します。名作を多数生み出してきたスタジオジブリ宮崎駿監督が引退作と銘打った作品です。この予告はアメリカでの公開前に発表されたものです。

 

THE BOY AND THE HERON | Official English Trailer

https://youtu.be/t5khm-VjEu4?si=unOu4pc9viOw5RDb

 

 

 

*******

 

 

 

〇日本では作られなかった本作の貴重な予告

日本で公開される前は予告を一つも発表していなかった本作ですが、海外での公開時にはちゃんと予告が作られました。まあ日本で公開された後なので情報をすべて隠すことはできないし、それなら予告も作ろうということかもしれません。

 

予告として観ると、本作は登場人物がそれぞれ個性的で場面転換も多いので意外と予告向きの作品だったのかなと思います。



主要登場人物はほぼ全員この予告に出ているように思います。ちなみに英語版の吹き替えでは青サギ役のロバート・パティンソン、勝一役のクリスチャン・ベール、大伯父役のマーク・ハミル、老ペリカン役のウィレム・デフォーなど豪華な俳優たちが名を連ねています。

(日本でもありますが、アメリカでもアニメ映画の吹き替えを有名な俳優が担当することが多い気がします。日本のように「ちゃんとした声優に吹き替えしてほしい派」の人がいたりするのでしょうか)

 

最後に少しコミカルなシーンを入れたりして一般的な予告の体裁をとっています。

 

●事前情報なしの鑑賞体験について

正直今回はこの予告を紹介したいというよりは、日本では事前情報なしで公開されたことについて書きたくて本作を取り上げました。

 

日本では2023年7月14日に公開されましたが、それまでに本作に関して発表されたのは下のポスター1枚で、予告編どころかあらすじやキャストなど一切伏せられた状態で公開を迎えました(しかも事前情報なしで公開するということ自体を発表するのもかなり公開が近くなってからで、それまでは「予告も発表されてないけど本当に公開するのか…?」と不安になっていた記憶があります)。

原案となった同名の小説はありますが、そのメッセージのみ踏襲して新しいストーリーになるらしいということが分かっていました。制作サイドは、この情報過多の時代に何も知らない状態で映画を観るということがどのような効果をもたらすのか、実験的に試したかったという意図があったようです。背景には製作委員会方式でなく単独出資方式の採用や、同様に事前情報を制限した前年の「THE FIRST SLAM DUNK」の興行的成功などがあるようですが、ここでは私の個人的な感想を書きたいと思います。

 

予告編のみを紹介するブログを書くぐらい予告を観るのが好きなので、「プレステージ」の予告紹介で触れたように多少内容が分かってしまうのは許容して面白そうな映画を探すために予告は観まくるし、好きな作品の続編など予告があろうがなかろうが絶対観ると思っている作品でも必ず予告を観てから本編を鑑賞します。

ただ、「君たちはどう生きるか」の予告なしの鑑賞体験というものにはものすごく心躍ってしまいました。もともとジブリ作品が好きだったというのもありますが、宮崎駿監督の最新作をまっさらな状態で観られるということが嬉しくて、公開初日に観に行きました。この映画を楽しみにしている人全員が同じ気持ちで公開日を迎えるという一体感もたまらなかったです。

興行成績も良かったようなので、一切宣伝しないというやり方は成功したと言っていいかもしれません(宣伝をした場合と比較することができないので一概には言えませんが)。

 

もちろんこれはスタジオジブリ宮崎駿という圧倒的なネームバリューがあってのことなので、他の作品は基本的に作品の魅力を伝えられるような予告を作って各所で流すのが効果的であることは変わらないでしょう。売上に大きな影響を持つのは熱狂的な映画ファンではなく「面白そうだったら観ようかな」ぐらいのライトな一般層であるともいえるかもしれません。

実際、ここでも予告を紹介した「マーベルズ」は、予告などは通常通り発表されましたが、公開までのプロモーション期間とハリウッドにおける全米映画俳優組合ストライキが重なってしまい出演俳優たちによる宣伝が一切行えなかったこともあり、興行的にはかなり苦戦を強いられました。MCUほどのブランドでも宣伝は大事、という例とみることができるでしょう。

 

また私個人の話に戻ります。今後、絶対観ると決めている作品なら自主的に事前情報をシャットダウンして公開時に新鮮な気持ちで観る、ということもできなくはないですが、やはり予告が発表されたら観てしまうと思います。予告や事前情報が解禁されたときのネット上の反応を見て共感したり、友人と内容を想像して話し合ったりするのも大事な映画体験の一つだと思っているからです。

 

長くなってしまいましたが、予告についても色々と考えさせてくれる作品でした。

 

読んでいただきありがとうございました。

「天気の子」予告 / 予告でも圧倒的な映像と楽曲の力を発揮する新海誠監督作

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「天気の子」(2019)の予告をご紹介します。「君の名は。」などで知られる新海誠監督のアニメーション映画です。

 

映画『天気の子』予報②

https://youtu.be/VGksHFs04Rc

 

 

 

*******

 

 

 

〇予告でも圧倒的な映像と楽曲の力を発揮する新海誠監督作

新海誠監督の作品は美麗で画力のある映像とストーリーにマッチした主題歌を兼ね備えていているので、予告編でも非常に魅力が伝わりやすい作品といえると思います。

 

前半ではRADWIMPSの「グランドエスケープ (Movie Edit) feat.三浦透子」をバックに、登場人物の紹介を兼ねた映像が流れます。

 

Grand Escape

https://youtu.be/Q6MCyXi7ygA?si=mNZeYvrOBzWJ8vCG

 

 

途中までは雨のシーンが多いですが、

「今から晴れるよ」の台詞とともに空が一気に晴れ上がり、音楽の一番盛り上がる部分が重なる演出はまさに圧巻です。水滴が逆巻くような描写やカメラアングルが素晴らしいです。

 

後半は同じくRADWINPSの「愛にできることはまだあるかい」が流れます。

 

RADWIMPS - 愛にできることはまだあるかい [Official Music Video]

https://youtu.be/EQ94zflNqn4?si=RBsyGPtC8injpFwo

 

主人公たちに何か困難が訪れることが示唆されますが、この予告は全体を通じてストーリーに関する情報がかなり少ないです。前作「君の名は。」で作風が広く認知された新海誠監督だからこそ、ストーリーの説明に時間を割くのではなくビジュアルと音楽で印象付けることを重視したのかもしれません。

 

最後に表れるタイトルの後ろでは、屋上設備の上から空に祈る陽菜と晴れ上がった夕焼け空が映し出されます。

 

●おすすめの新海誠監督作予告

最初に述べたように新海誠監督は予告で魅力が伝わりやすい作品が多いので、その他の作品の予告も非常に完成度が高く予告だけでも観る価値があります。

特におすすめな予告を2つ紹介します。

 

秒速5センチメートル」予告編 HD版 (5 Centimeters per Second)

https://youtu.be/1X95eE2fwuc?si=poELltShB50P4lFG

主題歌:山崎まさよしOne more time, One more chance

 

言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer

https://youtu.be/udDIkl6z8X0?si=LdX-r5HYYdxEVjQt

主題歌:秦基博「Rain」

 

読んでいただきありがとうございました。

「アメリカン・スナイパー」予告 / 主人公の葛藤を予告内で描き切る

映画予告編の魅力について語っていきます。

 

今回は「アメリカン・スナイパー」(2014)の予告をご紹介します。実在したアメリカ海軍狙撃手を描いた伝記映画です。

 

映画『アメリカン・スナイパー』 特報 【HD】2015年2月21日公開

https://youtu.be/HkDUQN7mo1U?si=O2YPuuRdx8lP-pCs

 

 

 

*******

 

 

 

〇主人公の葛藤を予告内で描き切る

物語のワンシーンを抜群の緊迫感で印象的に描いており、しかもそのシーンを通して作品の主題を明確に伝えるという素晴らしい構成になっています。

 

はじめ屋上の男を監視するシーンでは、隣の兵士の口調が軽く、任務中の何気ない一場面として描かれています。後の切迫したシーンとの緩急をつけるような演出です。

 

続いて玄関から出てきたのは爆弾と思しきものを持った女性と子供。本当に爆弾なのか分からない状態で、彼女たちを撃つべきかという判断に迫られます。

 

爆弾であるのに撃たなければ部隊に甚大な被害が及んでしまうが、爆弾でないのに撃ってしまえば罪なき一般市民の命を奪うことになるというリスクの大きすぎる選択を強いられます。

前の男を監視するシーンでもこのシーンでも、軍からの指示は自分の判断で撃て、というものであり「命令されたからやむを得ず撃った」という言い訳もたたない状況で、自らの判断に伴う責任がより重くのしかかります。

 

葛藤の最中、彼の妻と生まれたばかりの子供の回想シーンが挿入されます。

「伝説の狙撃手」と謳われる彼ですが、この映画は戦闘での功績を称えるためのものではなく、人間としての背景や苦悩を描いているということがよく伝わってきます。

 

BGMや効果音も最小限であるため、場面の緊迫感がより際立っています。

 

読んでいただきありがとうございました。